栄養失調のうらに潜む結核と社会問題

ケース

10歳、男児です。
南スーダンの難民キャンプにほど近い村に住んでいました。

ここ最近は体重が減ってきて、今日の夕方、キャンプ内の病院に運ばれました。

極度のやせ、意識がボーっとして、筋力の低下があります。
熱や咳といった症状はないです。

付き添いの母です。

難民キャンプの外の村に住んでいますが、そこも食べ物が手に入りにくく、子どもたちに十分なご飯を出してあげれないことがよくあります。

また、近くに病院もない所です。一番近くの病院は道なき道を車で4時間くらいかけていかないといけません。
私たちは車を持っていないので、病院に行くことはほとんど不可能です。

息子は最近体重減少がはげしくて、何しろだるそうにしていました。
私もここ数カ月、咳をしていて、たんも出ます。

家で様子を見るしかなかったのですが、難民キャンプの中に病院があると今日聞いたので息子を連れてきました。

医療スタッフです。
難民キャンプの外の村の子どもたちが栄養失調を認めて、私たちの病院に来ることは結構頻繁ひんぱんにあります。

この男の子も重度の栄養失調としてその日から治療を開始しました。
隣に付き添っているお母さんが激しい咳をしていたので、夕方に痰を採取さいしゅして、結核けっかくの検査に出しました。

残念ながら、男の子はその日の夜に亡くなってしまいました。

次の日の午前中にお母さんの痰の検査結果が戻ってきて、結核と診断しんだんされました。
状況から考えると、男の子も結核にかかっていたのかもしれません。

「結核」と「やせ・栄養失調」はリンクしているよね。
結核にかかると体重減少を認めたり、その逆に、栄養状態が悪いと免疫も弱くなって結核にかかりやすくなるよね。

もう少し早く病院に来て栄養失調と結核の治療ちりょうを開始していたら、もしかしたら亡くならなくてすんだかもしれないな・・。かわいそう。

キャンプに住んでいる難民の人も大変な生活だけど、実はその周りの村の人が貧困で苦しんでいることもあって、食料が不足していたり、病院が遠すぎる、お金がなくて病院にかかれないなどの問題を抱えていることがあるよね。

そういった人たちのことも忘れないように支援していかないといけないよね。

どうすればこういう状況を解決できるんだろう?

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