性被害にあってしまった場合は、どこにコンタクトを取ればいいの?
日本では、都道府県に1か所以上、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターというのが設置されています。
医師やカウンセラー、法律専門家と連携して、どうやって対応していくか相談できます。
ワンストップ支援センターが24時間受付していない道県や、センターに連絡できない場合は、開いている救急外来や産婦人科などの病院に相談してください。
病院に行く前に大切なことは、証拠保全です。そのために下記のことに注意してください。
1.シャワーやお風呂に入らない
2.身に着けていた衣服を洗わずにそのまま取っておく
そんなに色々と考えられる状況じゃないと思うけど、後々のために証拠を残しておくのは大切なことなんだね。
何かあったら一人で悩んでいないで、まずは病院や支援センターに連絡してね。
病院に行ったら何をするの?
病院では、まず状況や病歴を聞く問診と外傷・損傷の程度を見る身体診察が行われます。
性被害を受けた時の状況を説明するのは、被害者にとってはとても辛いものです。そのため、被害者が安心感を持って落ち着いて話せる雰囲気で行われるような配慮が医療従事者側に必要になります。
身体診察も同様で、衣服で隠れる部分の診察も多いため、どこを診察するかその都度被害者に説明し、同意を得ながらやっていきます。
その後、証拠採取や感染症検査などが行われます。
下の表は日本で行われる主な検査です。
感染症 | ||
血液検査 | 梅毒、HIV, B型肝炎、C型肝炎、クラミジアなど | |
膣分泌物や尿(その他、口や直腸など必要部位からの採取物)の検査 | 淋菌、クラミジア、トリコモナス、一般細菌など | |
薬物 | ||
尿・血液検査 | 薬物反応をみる | |
妊娠 | ||
尿検査 | 性被害後数時間以内に行うことで、被害を受けた時点より前に妊娠していたかかどうか確認できる |
性暴力を受けた後に病院に行くことが大切な理由の一つとして、予防薬が存在するからです。
主な予防対策は以下の通りです。
妊娠の予防 | ||
緊急避妊ピル | 高い効果を得るためになるべく早く服用する。可能な限り72時間以内に飲む。 120時間(5日)以内なら服用は可能だが、効果は日に日に低下していく。 | |
子宮内避妊具 | 暴行後、5日以内ならば緊急避妊の方法となる。 | |
感染症の予防 | ||
HIV暴露後予防(PEP) | 暴行後、72時間以内に内服を開始する。 その後28日間、内服を継続。 | |
B型肝炎ワクチン | 以前にB型肝炎ワクチンを接種したことがない人や3回の接種が完了していない人が対象。 | |
抗生物質 | 淋菌やクラミジア感染症などに有効な抗生剤の内服 |
予防できることも沢山あるから、そういう意味でも必ず早めに病院に相談してね。
病院を受診した時の費用が心配なんだけど、経済的なサポートは受けられるの?
性被害で病院を受診した場合、公費でカバーされる医療費があります。
主に公費が適用されるものは、以下の通りです。
ー 初診料
ー 性感染症などの検査費用
ー 緊急避妊費用
ー 診断書料
ー 人工妊娠中絶費用
公費の適用条件などはそれぞれの都道府県によって決まっています。
例えば、東京都では東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターの支援員が同行した場合に医療費助成が受けられます。
臨床心理士などによるカウンセリング費用の公費負担対象者や金額なども都道府県によって異なっています。
詳しいことはワンストップ支援センターに確認してみてね。
参考文献
– 内閣府男女共同参画局. 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター. https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/consult.html
– Thyme. 性暴力被害者支援情報プラットホーム https://thyme.buzz/sexual_violence_4/
– 日本PCIT研修センター 親密なパートナーからの暴力、または性暴力を受けた女性のためのヘルスケア 臨床ハンドブック 日本語版 (WHO 世界保健機関)https://pcittc-japan.com/healthcare-handbook/
– 日本産婦人科医会. 産婦人科医による性犯罪被害者対応マニュアル. 2008年6月. https://www.jaog.or.jp/wp/wp-content/uploads/2017/01/manual_2008.pdf
– 日本産婦人科学会. 性犯罪・性暴力被害者診療チェックリスト改訂版. 2020年6月. https://www.jaog.or.jp/wp/wp-content/uploads/2011/12/3767d5e2e4f58857306d39fc2f243404.pdf
– MSDマニュアル. レイプ被害者の医学的診察 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/18-%E5%A9%A6%E4%BA%BA%E7%A7%91%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E7%94%A3%E7%A7%91/%E3%83%89%E3%83%A1%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E6%80%A7%E7%9A%84%E6%9A%B4%E8%A1%8C/%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%97%E8%A2%AB%E5%AE%B3%E8%80%85%E3%81%AE%E5%8C%BB%E5%AD%A6%E7%9A%84%E8%A8%BA%E5%AF%9F
– エイズ治療・研究開発センターhttps://www.acc.ncgm.go.jp/general/pep_jpn.html
– 警察庁. 犯罪被害者等施策. 公費負担制度. https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/keisatsu/kouhi.html
– 犯罪被害者のメンタルヘルス情報ページ. カウンセリング費用の公費負担制度の更なる充実について. http://victims-mental.umin.jp/topics/01.html
– 東京都 総務局 性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援事業について https://www.soumu.metro.tokyo.lg.jp/10jinken/hanzai/onestop